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雑誌詳細

文献概要

特集 作業療法

精神療法的接近について

著者: 松井紀和1

所属機関: 1山梨日下部病院

ページ範囲:P.123 - P.129

I.はじめに
 作業療法には広狭の意味があるが,ここでは広義に解して,日常生活活動全般にわたる活動を作業として取り扱う。現在この意味では,生活療法という概念が使われているが,私もこれを常用している。さらに1965年,生活療法を定義づける必要を感じて,「操作手段として日常生活の諸活動を利用して行なわれる精神的療法であり,精神医学的に基礎づけられ,最終目標としては社会再適応,社会復帰を目指すものである」と定義した。次に,1970年,立場を明確にするために,「活動それ自身,治療者患者関係,集団の持つ力動的意味などの治療的要素の密接に関連した場の中で,患者の症状の背後にある欲求を,その患者のレベルの最も好ましい行動形態で充足し,患者の精神力動に(+)の変化を与え,より健康な自我を形成してゆくことを援助する過程である」と捉えた。
 臺は作業療法の作用因子として,生理的,心理的,社会的の3レベルをあげ,それを統一的に行動科学の立場から見ようとしている。われわれは後述するアプローチの歴史の中から,次第に精神分析学的疾病論に基づく心理療法として作業療法を定位するようになり,作業療法を基本的にはcommunication processとして捉えるFidlerの立場に近いものになってきた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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