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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻2号

1972年02月発行

特集 作業療法

リハビリテーションの立場から見た作業療法

著者: 稲地聖一1

所属機関: 1三重県立高茶屋病院

ページ範囲:P.153 - P.159

文献概要

I.緒言
 リハビリテーションという言葉は一般語としては“回復”“復権”と訳されているが,精神医学ではその言葉は人によっていろいろに解釈されている。例えばF. B. Porterは“患者の機能回復をもたらすのに必要な活動,技術または働きかけの機構である”といい,加藤伸勝は“病院内治療活動に引き続き,社会への移行を容易にするために行なわれる治療的活動を包括してリハビリテーションと定義しておく”といっている。また厚生省の大臣官房企画室が示した見解では“リハビリテーションとは身体障害者(精神障害者を含む)を身体的,精神的,経済的にできるだけ十分に,できるだけ早く回復させる措置のすべてを含むものであり,身体的,精神的機能を十分に回復させる医学的リハビリテーションと職業適性検査,職業訓練,再雇用を内容とする職業的リハビリテーションに区別される”としている。
 ところで,リハビリテーション医学が最も進んでいるといわれる英米におけるその発達の経緯をみると,増大した戦傷病者の機能を回復させ,軍事力の低下を最少限にしようとした政治的意図があったことは周知のことである。また一方では,労働力保全のために心身障害者に対するリハビリテーション活動が広まってきていることも事実である。そのような状況のなかで,戦力または労働力とならないと見なされた障害者は見捨てられ,病院内に沈澱したり,コロニーに収容されたりする結果を生んだ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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