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研究と報告
家族からみたCyanamide Double Medicationによる飲酒嗜癖者の生活行動の変化
著者: 有川勝嘉1 長沼六一1 大島正親1
所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.447 - P.455
文献購入ページに移動いわゆる慢性アルコール中毒ないしアルコール嗜癖に関しては,社会学的,心理学的または生物学的に種々の側面から見解が述べられてはいるがその疾病概念すら混乱しているようである。このことは病態または原因の多様性を物語るものであって,それ故に治療の困難さも等しく認められているのである。しかしそれらの多様性に比べればその結果ひき起こされる患者の問題行動の現象は比較的単純な様式をとり,行動自体の変化は客観的にとらえやすく評価することもできる。とくに生活の場として最も基本的な結婚・家庭生活に対する患者の行動の影響は大きく11),患者と家庭を次第に破壊していく。われわれは家族を治療体系の中に積極的に参加させる特殊な治療――Cyanamideを用いるDouble Medication Technique19)(以下DMT)を通して,家族の立場からみた患者の生活行動を比較的詳細に知る機会をもっており,家族の意見は家族の患者に対する意識としてもとらえることができると思われるので,DMTを施行中の家族に対する調査により,家族からみた患者の治療前後における生活行動の変化をとらえることを試みた。こうして家族から得られた情報は患者自身からのものより客観性に富んでいると考えられ,また治療のあり方や方向づけを考える上で大いに役立つものと考える。
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