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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻6号

1972年06月発行

研究と報告

男性仮性半陰陽者の心因反応

著者: 市川潤1 木村美津子2

所属機関: 1弘前大学医学部神経精神医学教室 2弘前精神病院

ページ範囲:P.513 - P.520

文献概要

I.はじめに
 半陰陽者に対する道徳的あるいは宗教的干渉は古く,既に古代ユダヤ教典に半陰陽者に対する取扱いに関しての記載があるという1)。すなわち,半陰陽者の場合には例外的に不浄の法(the law of uncleanliness)は適用されないために割礼は必ずしも行なわれなかったようである。また古い英国法では,半陰陽者は自らの性を自ら決することを命ぜられ,もし後に性転換を試みるような場合には死刑に処せられたともいう1)。現代ではこのような半陰陽者の処遇の問題は半陰陽者自らと医師の意見とに基づいて解決されることが可能である。
 しかし,このように社会的制約の改善された今日でも,半陰陽者個人の苦悩は決して軽減されたとはいえない。われわれの許に激しい精神異常を呈して来院した男性仮性半陰陽者の場合にも,そのような深刻な問題がまざまざと示されており,また,医学的処置を行なう場合のよって立つ根拠にも誠に微妙なものがあった。わが国におけるこの種の報告,とくに精神医学的・心理学的問題に触れたものはきわめて少ないので,われわれの経験した症例について上述のような観点からの考察を加えてここに報告したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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