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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻6号

1972年06月発行

研究と報告

精神分裂病でみる機能的類型とその予後—方法論的試み(第1部)

著者: 広田伊蘇夫1

所属機関: 1都立松沢病院

ページ範囲:P.557 - P.566

文献概要

I.はじめに
 私は3回にわたり,ほぼ20年近く在院する陳旧性分裂病例を対象として,いくつかの操作を介し,その存在的・機能的特徴を報告した1)。そのさい,得られた宝さがしの移動軌跡を整理しながら,注意とか,志向性と呼ばれる機能をみるこれまでの方向が,その“持続”に偏っており,“拡がり”,“配分”の方向での分析も必要なのではないかとの疑問を抱いた。そこで,発病経過10年以上の分裂病例を対象としたデータを整理しなおし,この注意,志向性の“配分”様式を調べなおしてみる気になってきた。実はここで記すデータは,陳旧例を担当する前年に得たものであるが,未整理のままであった。したがって,データを手にして3年間経過し,その間にある者は退院し,ある者は再入院となり,治療の失敗を身につまされながらも,そのことによって,それぞれの患者の特徴はある程度まで把握できたつもりである。
 以上の経過をもとにして,ここではまず,対象とした分裂病例で,注意の配分様式がどのように分化していたかを示してみる。ついで次回に,これに注意の持続様式の分化像を加え,以上の機能的特徴と臨床的特徴との関連について記すことにしたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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