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研究と報告
分裂病者のコミュニケーション行動—面接時のPersonal Spaceを中心として
著者: 仲宗根泰昭1
所属機関: 1日本大学医学部精神神経科教室
ページ範囲:P.651 - P.660
文献購入ページに移動I.はじめに
分裂病者との面接では患者が面接者に極度に近づいたり,また遠く離れすぎたり,斜めに向いて坐るなど,応待の仕方に不自然さのあることが日常よく観察され,対人的な空間の使い方に異常があるのではないかということが予測される。人におけるコミュニケーションは言語のみでなく,表情,身振りなどの非言語的行動をも媒介として行なわれるが,対人的な空間の使い方もこの範疇の一つと考えられる。
ところで,個体が他者との関係で保とうとする距離帯(personal spaceとかproximetric spaceとよばれる)についてはHoward10)が鳥類について"なわばり行動"として記載し,Hediger5)はさらに個体と個体のかかわりあいとしての距離に注目し,最近ではHall3)4)が人のコミュニケーション行動として文化人類学的立場からこの面に注目している。分裂病者で,非言語的コミュニケーションが重要な役割を果たしていることは周知の事実であるが,距離帯についての研究はまだ数少ない。しかしSpiegel12)はすでに,この面の重要性を示唆し,またHorowitz6)7)8)9)は個体をとりまく対人接触の領域をbody-buffer zoneとよんで分裂病者について詳しく研究している。
分裂病者との面接では患者が面接者に極度に近づいたり,また遠く離れすぎたり,斜めに向いて坐るなど,応待の仕方に不自然さのあることが日常よく観察され,対人的な空間の使い方に異常があるのではないかということが予測される。人におけるコミュニケーションは言語のみでなく,表情,身振りなどの非言語的行動をも媒介として行なわれるが,対人的な空間の使い方もこの範疇の一つと考えられる。
ところで,個体が他者との関係で保とうとする距離帯(personal spaceとかproximetric spaceとよばれる)についてはHoward10)が鳥類について"なわばり行動"として記載し,Hediger5)はさらに個体と個体のかかわりあいとしての距離に注目し,最近ではHall3)4)が人のコミュニケーション行動として文化人類学的立場からこの面に注目している。分裂病者で,非言語的コミュニケーションが重要な役割を果たしていることは周知の事実であるが,距離帯についての研究はまだ数少ない。しかしSpiegel12)はすでに,この面の重要性を示唆し,またHorowitz6)7)8)9)は個体をとりまく対人接触の領域をbody-buffer zoneとよんで分裂病者について詳しく研究している。
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