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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻8号

1972年08月発行

文献概要

研究と報告

盤珪禅と森田療法の精神指導の態度についての考察

著者: 鈴木知準1

所属機関: 1鈴木診療所

ページ範囲:P.737 - P.745

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I.はじめに
 盤珪(ばんけい)の不生禅(ふしようぜん)は坐禅という行(ぎよう)を行なわないで,盤珪の説法を聞きにくる聴衆に法話を聞かせ,また疑問を持つ僧との間の問答の形式をとって現在の心的態度の批判を行ない,彼等を開眼させ,現在の中に彼等を安定せしめようとしている。これが盤珪禅の眼目とするところであった。
 しかして,その盤珪の法話,または僧や聴衆との間の問答質疑は,森田の神経質人を指示する方向と極めて近いのは,誠に興味深い。しかし前述のように盤珪は坐禅などの行をおこなわなかった。森田療法といわれる森田の特殊療法においては,臥褥や作業へ没入する行動すなわち行が必要とされている。この点大きく異なってはいるが,森田のその行動を通して達せしめようとする心的態度を,盤珪は日常の問答の中に極めてやさしい言葉で表現しているのは,一つの驚きをわれわれにあたえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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