icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻9号

1972年09月発行

巻頭言

“Psychiatrieren”

著者: 諏訪望1

所属機関: 1北海道大学

ページ範囲:P.783 - P.783

文献概要

 “Psychiatrieren”という言葉は,もう十数年まえから,私は折にふれて口にしていた。それ以前に誰かが使っていたかどうか,またそんな語を勝手に新作してよいかどうかということも気になるが,それはいまは詮索しない。いずれにしても,これは“philosophieren”をもじったものにほかならない。「哲学」を学ぶことはできなくても,「哲学的に考えること」(philosophieren)を学ぶことはできる,という意味のことをカントが言っている(純粋理性批判)。もちろん私にはその内容を正確に敷衍する能力はないが,そのこともここでは問題にしないことにする。
 医学の領域のなかで,精神医学ほどそれぞれの立場が容認され,さまざまな体系が成りたちうる学問はないであろう。そしてそれらの諸体系は,精神医学史の流れのなかでそれぞれ独自の地位を占めてはいるが,どれひとつとして完成された唯一の体系としてわれわれに提供されているものはない。その意味で精神医学は哲学との共通点をもっているとさえいえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら