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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻9号

1972年09月発行

研究と報告

Chlorpromazine投与患者の心電図

著者: 栗岡良幸1 谷和光彦2

所属機関: 1阪奈サナトリウム 2大阪船員保険病院内科

ページ範囲:P.797 - P.805

文献概要

I.緒言
 Chlorpromazineが精神病患者の治療に用いられるようになった頃より,この薬剤の心臓に対する影響が動物実験で報告され1)〜6),ヒトについても心電図に異常のみられることが述べられていた4)。1963年thioridazine投与中,心電図変化がみられて死亡した患者の報告7)がなされて以来,phenothiazine系薬剤特にthioridazineと心電図異常についての報告が多くみられるようになった8)〜13)15)17)〜24)。またphenothiazine系薬剤服用中突然死した患者の心筋に変性がみられ7)14)16)17)22),その動物実験の報告16)17)25)26)もあり,phenothiazine系薬剤と心電図異常および突然死の関係が論じられてきた。しかしphenothiazine系薬剤服用患者の異常心電図の出現頻度とその内容や,異常心電図発生の経過をみた報告は少ない。
 今回われわれは,心臓血管系に変化を及ぼす疾患のない比較的若い年齢でchlorpromazineの長期投与を受けている精神分裂病患者の心電図を連続的にとり,検査対象159例中毎回正常心電図を示したのは27例しかなく83%に異常心電図がみられ,その異常心電図の示し方は,検査ごとに変化がみられる不規則性を示す興味ある所見を得たのでその結果および,その不規則性発生の原因を若干文献的考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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