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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

向精神薬服用時の心電図変化

著者: 高橋三郎1 岡田文彦1 山下格1 諏訪望1 小林正2 加藤巌3 宮村厚夫3 渡辺栄市3

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2北海道大学医学部付属病院検査部 3渡辺病院

ページ範囲:P.807 - P.815

I.はじめに
 向精神薬によって惹起される副作用には種々のものがあるが,わが国ではこれらの中で心臓・血管系,ことに心電図に及ぼす影響は,比較的最近まで大きな関心を持たれていなかったものの1つである。われわれはすでに数年前からこの問題に注目して研究を続けているが,各種向精神薬を長期服用中の精神疾患患者413例の心電図の検討でそのうち252例(61.0%)に洞性頻脈,STとT波の変化およびこれら所見の合併などを中心とした種々な異常所見を見出している19)20)。この成績は向精神薬服用中に生じたと推定される突然死とも関連して,精神科の日常診療に重要な意義を有するものと考えられる9)18)
 ところで,実際にこれらの心電図変化を認めたさいに,臨床医のとるべき処置について検討することが必要である。そこでわれわれは今回,次の3段階に分けて心電図変化を追究した。すなわち,(1)まず全般的な心電図異常を把握するため横断面的検討を行ない,(2)次に同一患者についてできる限り数年前にさかのぼり,向精神薬と心電図異常の推移との関係を縦断面的に調べ,(3)その後,心電図変化に示される心臓・血管系の異常に対する2〜3の治療薬を併用し,その直前の異常心電図変化に及ぼす薬物治療の効果を検討した。これらから得られた結果は以下のようである。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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