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動き

「人格障害と薬物依存」の国際診断基準—第7回WHO東京会議報告

著者: 加藤正明1

所属機関: 1国立精神衛生研究所

ページ範囲:P.841 - P.850

I.はじめに
 昭和46年12月8日から14日までの1週間,第7回WHO国際診断分類統計会議が東京で開催された。この会議はWHOの精神衛生部が中心となって,世界各国から12名の委員を依嘱し,精神衛生研究計画Aとして1965年以来行なわれてきた。その目的は主として精神障害の国際診断基準にあり,第1回は精神分裂病(ロンドン),第2回は反応精神病(オスロー),第3回は児童の障害(パリ),第4回は老人精神障害(モスクワ),第5回は精神薄弱(ワシントン),第6回は神経症(バーゼル)と続けて行なってきた。その第7回の会議が東京で開かれ,テーマは「人格障害personality disorderおよび薬物依存drugdependence」であった。
 WHOではいわゆる精神病質,薬物中毒という言葉をすでに用いないことになっている。しかも「人格障害personality disorder」についても,すでにバーゼルの会議で神経症と神経症的パーソナリティとの関係について,多くの意見がかわされ,personality disorderとするのは適切ではなく,personality traitsと考えるべきであり,人格障害をnosological unitとする考えに反対が強かった。今回の会議でも,「人格障害」というカテゴリーは,神経症や精神病などと並ぶ医学的疾病概念ではありえないとする意見がかなり強かった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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