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雑誌詳細

文献概要

巻頭言

精神医学の実践に必要なもの

著者: 松本啓1

所属機関: 1鹿児島大学

ページ範囲:P.2 - P.3

 近年,精神科医療はいかにあるべきかということが,精神科医および精神医療従事者のあいだで叫ばれるようになった。ここで話題になっている多くは,精神科医療の従来のあり方や政策に対する批判と反省である。
 たしかに,このような批判や反省も必要ではあるが,日常の臨床において患者や世間の多くの人人に接していると,精神科医や精神医療従事者の声は,相手のない一人相撲のように,まったく,理解されていないばかりか,これらの声には無関心であることがわかる。これについては,いろいろな理由が考えられるが,精神科医療や精神衛生に関する知識の啓蒙が国民の間に十分なされていないことが最大の理由としてあげられると思われる。いくら精神科医や精神医療従事者が声を大にして叫んでも,犬の遠吠えのように,一般世間の人々にはきこえ,なんらの関心も呼び起こさないのであろう。精神衛生知識の啓蒙運動については,戦後,諸外国と同様,わが国でも関係者の間で,その必要性について強く叫ばれるようになったが精神衛生知識の普及はまだまだ十分ではない。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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