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人工透析の精神医学的諸問題
著者: 浅井昌弘1 保崎秀夫1 武正建一1 平野正治1 大沢烔2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部,精神神経科学教室 2慶応義塾大学病院,腎センター
ページ範囲:P.4 - P.17
文献購入ページに移動人工透析療法は完全に腎臓機能を代用するものではないが,両側腎機能を失った患者でも,人工透析によって長期間(良好な例では5年以上も)延命させることが可能である。人工透析には腹膜灌流と血液透析(Kolff型,Kiil型,Hollow fiberkidney)があり,現状では血液透析,とくにKiil型が盛んに用いられている。人工透析の応用は,急性腎不全に対し短期間行なう場合(急性透析)と高度の慢性腎不全や両腎剔出を受けた者に長期間持続的に行なう場合(慢性透析)がある。慢性透析では腎移植をしないかぎり,透析を週2〜3回は続けねばならず,透析の中止は死を意味する。人工透析の技術面や身体医学的事項については,大越ら53),木下36,37),杉野68),小高52),稲生ら23)の著述や人工透析研究会会誌(1968年第1巻以下続刊)を参照されたい。
本論文では人工透析療法(以下“透析”と略す)を受けている患者(以下“透析患者”と略す)の精神障害や心理的問題を中心に論述するが,はじめに,広く問題点を列挙すると次のようなものがある。
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