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研究と報告
有機溶剤酩酊下の犯罪の司法精神医学的考察
著者: 小田晋1
所属機関: 1東京医科歯科大学犯罪心理学研究室
ページ範囲:P.55 - P.65
文献購入ページに移動2)有機溶剤酩酊下の犯罪の刑事責任能力については,酩酊の精神作用,犯罪に及ぼす影響の可能性の類型の可能性を考慮して,原則的に次のように考えることができた。
a)意識障害および夢幻状態があり,幻覚,妄想に支配された犯罪——心神喪失(原因において自由な行為を除く)。
b)意識障害下の運動暴発による犯罪——その程度に応じて心神喪失または耗弱。
c)意識清明で,抑制欠如,気分変化のみ存在する場合の犯罪——原則として完全責任能力,とくに高度の場合心神耗弱。
3)上記の原則を具体的な鑑定例に適用するさいには,供述の信憑性について慎重な検討が必要である。
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