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てんかんと情動—情動性てんかんからヒステリーの合併まで
著者: 原俊夫1
所属機関: 1北里大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.1028 - P.1044
文献購入ページに移動I.はじめに
てんかんという疾患は種々な形で情動あるいは情動障害と密接な関係を持っている。たとえば,発作それ自体が恐怖とか不愉快感あるいは愉快な感じや恍惚といった情動体験そのものである“情動発作ictal emotion”といわれるものもある。また,いわゆるてんかん性不機嫌を初めとする挿間的精神症状にも情動障害が認められる。そのうえ,てんかん性格とか,てんかん性本態変化Wesensänderungといわれるものの中心には,主として情動面の障害や偏倚が存在する。したがって,てんかんと情動との問題を取上げると,発作症状としての情動障害から持続的精神症状までを取上げねばならぬであろう。
しかしながら本稿においては,日常の診療において,てんかん患者が心因性疾患と解されやすい部分を取出して,その文献的考察と自験例を記述し,“てんかん”という単純にみえて,しかも幅の広い疾患の一つの側面を浮彫りにしようと試みたものである。ただし腹痛や頭痛などの自律神経発作のために登校拒否とか小児神経症と誤診されやすいものについては省略した。
てんかんという疾患は種々な形で情動あるいは情動障害と密接な関係を持っている。たとえば,発作それ自体が恐怖とか不愉快感あるいは愉快な感じや恍惚といった情動体験そのものである“情動発作ictal emotion”といわれるものもある。また,いわゆるてんかん性不機嫌を初めとする挿間的精神症状にも情動障害が認められる。そのうえ,てんかん性格とか,てんかん性本態変化Wesensänderungといわれるものの中心には,主として情動面の障害や偏倚が存在する。したがって,てんかんと情動との問題を取上げると,発作症状としての情動障害から持続的精神症状までを取上げねばならぬであろう。
しかしながら本稿においては,日常の診療において,てんかん患者が心因性疾患と解されやすい部分を取出して,その文献的考察と自験例を記述し,“てんかん”という単純にみえて,しかも幅の広い疾患の一つの側面を浮彫りにしようと試みたものである。ただし腹痛や頭痛などの自律神経発作のために登校拒否とか小児神経症と誤診されやすいものについては省略した。
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