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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻11号

1973年11月発行

研究と報告

一次性読書てんかんの1例

著者: 高橋志雄1 丸子一夫1 石下恭子1 八島祐子1 尾野成治2

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神医学教室 2福島大学教育学部特殊教育研究室

ページ範囲:P.1185 - P.1191

文献概要

 Bickfordら2)のいう一次性読書てんかん患者の1例を報告した。患者は22歳の男子大学生で,下顎反射がやや亢進している他は神経学的に異常はない。既往歴に読書中jaw-jerkingおよび視覚障害が先行した4回の痙攣大発作があった。脳波は安静閉眼時,過呼吸,閃光刺激などでは異常なく,読書による賦活のみで臨床上のjaw-jerkingと脳波上棘波の出現をみ,Bemegride 38mgの単独賦活ではjaw-jerkingを伴わない非定型棘徐波の出現をみた。
 以上の1症例を中心として,一次性読書てんかんの文献的考察を加えた。その結果,眼筋あるいは発語に関係する筋群の運動が読書てんかん誘発の中心的機構に関与しているとしても,単純な運動覚反射てんかんには還元しえず,読書という知的行為に含まれるより高水準の活動の関与が無視しえないと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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