文献詳細
研究と報告
二重盲検法によるSulpirideの精神分裂病に対する薬効検定
著者: 谷向弘1 乾正1 高橋尚武1 金子仁郎1
所属機関: 1大阪大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.197 - P.207
文献概要
得られた結果をχ2検定法あるいは直接確率計算法を用いて解析したところ,全般的な分裂病像の改善,病型,状態像,経過類型,罹病期間,今回の症状発現より治療開始までの期間別にみた改善率,各精神症状に対する効果などのどの面から比較してみても,両薬剤間に有意差を見出すことができなかった。sulpiride治療によって高い改善率のみられた症状は,幻覚および自我障害,妄想,接触性,病識などで,とくに妄想に働きかけて病識を出させる効果に特徴が認められた。しかし経口投与では精神運動興奮や昏迷状態を改善する作用は弱いようであった。
掲載誌情報