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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻4号

1973年04月発行

文献概要

特集 痴呆の臨床と鑑別

痴呆と発達期の知能障害

著者: 岡田幸夫1

所属機関: 1神戸大学医学部精神神経医学教室

ページ範囲:P.389 - P.392

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I.成人における知能障害の概念
 知能とは何か? この問いかけは,古くて新しい課題であるとともに,これほど,諸家の立場にしたがって意見の分かれる問題も少ないであろう。けれども,精神病理学的見地に立てば,知能を能力心理学的に理解するだけでは不充分である。というのは,知能の障害について,単なる記憶力の障害とか,見当識の障害とかいった能力の障害を列挙するだけでは,その本質を把握することができないからである。いうならば,そうした個々の能力をこえて,人格障害の様相を示しているのが痴呆だからである。
 この点に注目して,Zutt4)は人間学的立場から痴呆の本質を,Selbstreflexionの障害,すなわち,自己の立場への批判力,反省力の障害とみなしている。彼によれば,知識の多寡が問題なのではなくて,知識の量がいかに少なくとも,それを自覚している場合は,痴呆とはいえないことになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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