文献詳細
展望
文献概要
I.はじめに
戦後の混乱期にわが国で蔓延したヒロポン(methamphetamine)中毒が精神障害を起こすことから,立津ら73)によって多数の症例が集められ精力的な研究がなされた。昨今は精神科臨床で覚醒剤中毒をみることはほとんどなくなったが,その後の薬物のめざましい開発にともない,市販薬あるいは医師の処方薬によって精神症状を生じた例が時に報告され,一つの問題となっている。
本稿では今までに主としてわが国で発表された,薬によって精神症状を生じた例を医薬原精神障害として集め,その発現頻度,精神症状の特徴を述べ,また成因を考えてみるために動物で得られた生化学的なデータなどの概観を試みた。
戦後の混乱期にわが国で蔓延したヒロポン(methamphetamine)中毒が精神障害を起こすことから,立津ら73)によって多数の症例が集められ精力的な研究がなされた。昨今は精神科臨床で覚醒剤中毒をみることはほとんどなくなったが,その後の薬物のめざましい開発にともない,市販薬あるいは医師の処方薬によって精神症状を生じた例が時に報告され,一つの問題となっている。
本稿では今までに主としてわが国で発表された,薬によって精神症状を生じた例を医薬原精神障害として集め,その発現頻度,精神症状の特徴を述べ,また成因を考えてみるために動物で得られた生化学的なデータなどの概観を試みた。
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