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研究と報告
Kleine-Levin症状群の1例
著者: 古屋穎児1 菱川泰夫1 若松晴彦1 木下玲子1 土居剛2
所属機関: 1大阪大学医学部神経科精神科 2武庫川病院
ページ範囲:P.503 - P.509
文献購入ページに移動覚醒時脳波は,間歇期には10c/sであった基礎波が,発症期には8.5ないし9c/sに徐化し,背景脳波に徐波成分が混入しているのが認められた。
終夜睡眠記録は,発症期に行なった初回記録では,なかなか入眠せず,入眠してからは頻回に睡眠が中断され,深睡眠が少なかった。傾眠性の亢進を主症状とはするが,実際には慣れない条件の下では容易に眠り込まないことを示しているものと解される。
発症期に行なった第2回終夜睡眠記録と間歇期に行なった第3回終夜唾眠記録の間には,睡眠経過と睡眠深度の構成のいずれにも著しい差異はみられなかった。
これらの結果と先人の研究報告を考察し,Kleine-Levin症状群の症状発現には,逆説睡眠および徐波睡眠の発現に関わる神経機構には異常はなく,覚醒状態を維持する神経機構の一過性の障害によるものであろうと推論した。
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