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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻5号

1973年05月発行

研究と報告

うつ状態に対する三環抗うつ薬と甲状腺ホルモンTriiodothyronineの併用療法の経験

著者: 小椋力1 大熊輝雄1 下山尚子1 竹下久由1 安部喬樹2

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2鳥取大学医学部第一内科学教室

ページ範囲:P.527 - P.536

文献概要

I.はじめに
 甲状腺機能低下症の精神症状とうつ病の病像との間に類似性が知られており,うつ病と甲状腺機能低下症とのあいだにはある程度の関係があることが予測されてきた。また,動物実験の結果でも,甲状腺機能の正常なマウスにくらべ甲状腺機能が亢進したマウスでは,三環抗うつ薬imipramineの作用の一部が増強されること(Prangeら8)1962)が知られている。また,Prangeらは,甲状腺機能低下症でうつ状態を示した1症例に甲状腺ホルモンとimipramineとを併用したところ,甲状腺ホルモン単独ではみられなかった発作性房性頻脈が認められたと報告しており,甲状腺機能亢進状態あるいは甲状腺ホルモンがimipramineの作用を増強させる可能性が示唆された。
このような事実にもとづいて,Prangeら10)(1969)は,甲状腺機能が正常なうつ病者に対して,imipramineの常用量と少量の甲状腺ホルモン(triiodothyronine以下T3と略記する)との併用を試みたところ,imipramine単独投与の場合にくらべ,効果発現が早いとの結果が観察された。その後この事実を支持する結果がいくつか発表されている(Wilsonら12),1970;Earle5),1970;Coppenら3),1972)が,三環抗うつ薬単独の場合とくらべて有意差がないとの報告もある(Feighnerら7),1972)。また,imipramineと同様な三環抗うつ薬amitriptylineも少量のT3と併用すると,単独投与にくらべ効果発現が早いとの報告もある(Wheatley13),1972)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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