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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻5号

1973年05月発行

文献概要

研究と報告

Imipramine-N-oxide(IPNO)によるうつ状態の治療経験

著者: 平山正実12 宮本忠雄3

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室 2三楽病院神経科 3東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.537 - P.546

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 われわれは,imipramine誘導体であるIPNOを使用し,つぎの結果をえた。
 (1)うつ状態を呈している患者27例にIPNO75mg/日〜150mg/日を4週間投与したところ,改善9例,やや改善6例,あわせて15例(56%)に症状の改善をみた。
 (2)病型別では,退行期うつ病,更年期うつ病を含めた内因性うつ病に対しては,13例中10例(77%),反応性うつ病と神経症性うつ病では,11例中5例(45%)に改善をみた。
 (3)症状別では,抑うつ気分と意志および思考の制止などの症状は,著しく改善されたが,不安や心気的訴えはあまり改善されなかった。
 (4)IPNO 75mg/日〜150mg/日を投与したところ,少なくとも1〜2週間以内に効果があらわれた。2週間から3週間継続して投与しても効果のみられない症例では,それ以上つづけても病像に変化はみられなかった。
 (5)副作用として,胃腸障害(胃部不快感,便泌,嘔気,食欲不振),舌炎,口渇などが比較的多くあらわれた。そのほかに動悸,舌のもつれ,目のかすみ,発疹,睡眠障害,ふらつきなどが認められた。これらの副作用はこの薬物の投与を中止することによっていずれも消失した。そのほか,血圧,尿所見,血液所見,血清肝機能検査,心電図,脳波検査などを投与前と投与終了時にできるだけ測定し,その結果を比較検討したが,とくに異常はみられなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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