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研究と報告
更年期にうつ的・躁的色彩をもつ状態を頻回に反復した非定型精神病の1例
著者: 田中恒孝1 宮坂雄平1
所属機関: 1信州大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.641 - P.648
文献購入ページに移動内因性精神病の臨床脳波学的研究は過去において数多く報告され,この疾患に特異的な所見の存在しないことが実証された。一方,急性ないし周期性の経過をとる緊張型分裂病の中には異常脳波を示すものが比較的多いことも明らかにされた6)。近年非定型精神病に関する病態生理学的研究がさかんに行なわれ,これらにてんかん性律動異常を含む脳波異常の高率に認められることが報告されている18)。そして非定型精神病と脳波に表現された脳機能異常との関連について論議されている11,18,23,30)。
私どもは数年にわたって6c/s棘徐波について検討し23〜25),この波が内因牲精神病に比較的高頻度に見出され24),これらの症例の臨床症状ならびに経過は多種多様であるが,非定型的な要素を含んでいて診断困難な例の多いことを知った。この一連の研究中に,更年期に初発し,昏迷を伴う躁うつ病類似の経過を示し,病相期に意識混濁が加わって診断に困難をきわめた1症例を経験した。ここに臨床像の特徴ならびに脳波所見について報告し若干の考察を加えてみる。
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