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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻6号

1973年06月発行

研究と報告

Benzoctamine(ME-910)の神経症に対する臨床効果について

著者: 山本紘世1 石黒健夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.669 - P.676

文献概要

I.序論
 穏和精神安定薬minor tranquilizerとして,現在本邦では,meprobamateにかわってchlordiazepoxide,diazepam,nitrazepam,oxazepam,oxazolam,medazepamのbenzodiazepine系薬物が臨床に使用されている。薬の種類によって,その効果のスペクトルは幾分異なっているが,不安・焦燥に対する作用,抗抑うつ作用,催眠・鎮静作用,自律神経安定化作用,筋弛緩作用,抗痙攣作用が認められ,臨床的には各種の神経症,自律神経失調症,激越性うつ病,各種の疾患に伴う不安状態,てんかん性不機嫌状態などに用いられている。
 Benzoctamine(Tacitin,ME-910)1)は,スイスCIBA-GEIGY Ltd. で開発された新しいethanoanthracene系の誘導体で,従来のbenzodiazepine系誘導体をはじめ,いずれの向精神薬にも属さない化学構造をもつものである。化学名は,1-methyl-aminomethyl-dibenzo (b,e) bicyclo (2.2.2) octadinehydrochlorideで,構造式は図に示すように4個の環が異なった面にあり,それぞれ独特の角度で結合している。一般名はbenzoctamine hydrochlorideで,動物実験においては攻撃性を減少させ,静穏作用と筋弛緩作用を示し,薬理学的にはchlorpromazineとimipramineとの中間にあり,前者よりいくらか鎮静作用が少なく,後者より筋弛緩作用が幾分強いといわれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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