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研究と報告
特異的な感応現象をくり返した同胞性精神病の1例
著者: 高橋隆夫1 三輪登久1 沼田満三1 貝谷久宣1
所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.711 - P.717
文献購入ページに移動われわれは数回にわたって主として昏迷状態をくり返した女子患者の経過を観察してきたが,彼女が錯乱ないし昏迷に陥った時期のほとんどが"弟あるいは妹が錯乱や昏迷に陥ったのを身近かに目撃している最中やその直後"であった。
一般に,同一の場所にて親しく生活している人人の間には相互に精神的影響が作用し合っているということは論を待つまでもないが,かかる状況において,精神病者によって他の人間が影響を受け,病者の病的体験や状態像を取り入れることによって精神病(状態)となった場合には,精神病理学的にも非常に問題視されており,これまでにもfolie à deux(2人での精神病),感応性精神病などとして報告されている。そして,かかる事態が発生するにさいしては,"原発者(感応者)は続発者(被感応者)よりも高い人格水準にある"ことが一つの条件であるかのごとく述べられてきている。
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