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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻7号

1973年07月発行

研究と報告

向精神薬による非可逆性錐体外路症状の1例—発症の経過と成因の考察

著者: 八木剛平1 伊藤斉2

所属機関: 1皆川病院 2慶応義塾大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.727 - P.734

文献概要

 (1)脳動脈硬化症の合併が疑われた45歳の精神分裂病の女性で,neurolepticaによる治療中に下肢,躯幹,口,舌の常同的な不随意運動が出現して3年以上にわたって持続している1例を報告し,病像,経過および治療に対する反応などの検討からneurolepticaによる非可逆性錐体外路性運動亢進症状群と診断した。
 (2)本症例ではhaloperidolとtrihexyphenidylの投与中に出没していたakathisiaが(第1期),両者の同時中絶後にいわゆるrestless legsを伴って一種の禁断症状のごとく持続的に出現し(第2期),いちじるしい起立性低血圧などの多彩な身体症状を伴って増強し(第3期),その消褪とともに下肢,躯幹,口の不随意運動が出現し(第4期),neurolepticaの再投与によって軽減するが休薬すると増強するという経過をとりながら(第5期),非可逆性錐体外路症状の病像が次第に固定する(第6期)にいたった。非可逆性の病像は第4期においてakathisiaから移行したものとみなされた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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