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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻7号

1973年07月発行

文献概要

研究と報告

うつ状態に対する炭酸リチウムの治療効果

著者: 渡辺昌祐1 田口冠蔵1 中屋耿爾1 大月三郎1

所属機関: 1岡山大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.781 - P.786

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I.緒言
 炭酸リチウムの躁病に対する治療効果や,躁うつ両相の頻度と重症度を軽減する予防効果は,もはや確認されている。しかるに,うつ病に対する炭酸リチウムの効果については,賛否両論がありその臨床効果が確立した段階ではない。リチウム療法を最初に報告したCade7)をはじめとして,Fieveら19)も重症うつ病には,無効であったと報告しており,ごく最近までは,躁うつ病うつ状態とうつ病に対しては一般に無効であるが,反復性うつ病に対する予防効果があると考えられていた。
 しかし一方,Votéchovsky(表4)をはじめ,uncontrolled studyで,うつ病に対する炭酸リチウムの治療効果を認めた報告も散見せられる。すなわち,Dyson14)は1968年,31例のうつ病患者のうち19例に有効であることを報告した。さらにその後,Fieveら10)は躁うつ病うつ状態29例中,25例に有効であったと報告し,Goodwinら11)は,13例中,5例が効果を認めた報告をしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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