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文献詳細

雑誌文献

精神医学15巻8号

1973年08月発行

文献概要

短報

精神分裂病外来患者におけるFluphenazine Enanthateの臨床効果について

著者: 羽田忠1

所属機関: 1茨城県立友部病院

ページ範囲:P.898 - P.899

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I.はじめに
 精神安定剤の出現により,精神科治療において,外来治療が可能となった。そして,精神分裂病の患者に対しても,入院は,ある限定した状況においてしか行なわないですませることができるのではないかと,期待を抱かせるに至った。しかし,現実に外来で精神分裂病の患者を治療する場合,彼らの生活環境の中で治療することが,最も好ましいということが分かりながら,外来で維持することができず,入院せざるをえない場合が多く,そのつど,精神科医として,はなはだしい無力感を感ずるのが常である。このような,精神分裂病患者の外来治療が,失敗に終わる原因はいろいろあるが,その中でわれわれが最も多く体験することは,精神安定剤内服の不規則,さらに拒薬で,それによる症状の再燃である。このことは原因でもあり,また,結果ともなる。服薬の不規則,中絶は症状の再燃をまねき,その結果,拒絶,拒薬となり,外来治療の継続を不可能とする。その意味で,著者は確実に患者の体内に一定期間精神安定剤が存在しているような安定剤(本人の意志と無関係に),すなわち非経口的,持続性精神安定剤の出現を期待していた。昨年発売になった持続性精神安定剤注射薬fluphenazine enanthate(Anatensol Depot)は著者の理想としていたものよりは不十分,不完全ではあるが,現状より考え,補助手段として外来患者に利用できると考え,精神分裂病外来患者に対し,46年6月より使用し,ある程度の効果を得たのでその治療体験を報告したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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