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—P. K. Bridges 著—Psychiatric Emergencies—Diagnosis and Management
著者: 清水信1
所属機関: 1慈恵会医科大学精神神経科教室
ページ範囲:P.908 - P.913
文献購入ページに移動 著者P. K. Bridgesの名前はあまりわが国になじみ深いものではないが,その業績には精神科の実地臨床に関するものが多く,イギリス型の堅実な臨床精神医学者であると思われる。彼はまた,Bexley Hospital,Kent Brook General HospitalおよびLewisham group of hospitalsのconsultant psychiatrist,すなわちこれらの病院の精神科医療チームの指導者兼最高責任者である。イギリスの医学教育,とくに卒後研修で,consultantの地位にある人びとが中心的な役割りを果たしていることを考えれば,著者が臨床家であると同時に精神医学の教育に深い経験を持つであろうことは容易に推測できるが,このことは本書の発想や内容にもよく反映されている。
ところで奇妙なことに本書はアメリカのC. C. Thomas社の“American Lectures in Living Chemistry”のシリーズのなかの一冊として出版されている。しかし実際に目を通してみると,内容的にはとくに化学と関連性の深いものではないし,また記述の背景にある精神医学の系統もアメリカ的な力動的な考え方を主調とするものでなく,現象学的な基礎と実践的・社会的な視点を重視するイギリス精神医学の香りたかいものである。したがってここに用いられている用語や概念はドイツ学派のそれとよく一致するものが多く,われわれにとっては大変なじみやすい。このように本書はアメリカで出版された。イギリスの著者によるイギリス精神医学的な内容の書物である。
ところで奇妙なことに本書はアメリカのC. C. Thomas社の“American Lectures in Living Chemistry”のシリーズのなかの一冊として出版されている。しかし実際に目を通してみると,内容的にはとくに化学と関連性の深いものではないし,また記述の背景にある精神医学の系統もアメリカ的な力動的な考え方を主調とするものでなく,現象学的な基礎と実践的・社会的な視点を重視するイギリス精神医学の香りたかいものである。したがってここに用いられている用語や概念はドイツ学派のそれとよく一致するものが多く,われわれにとっては大変なじみやすい。このように本書はアメリカで出版された。イギリスの著者によるイギリス精神医学的な内容の書物である。
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