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研究と報告
多彩な精神症状を示した一過性脳虚血発作の1例
著者: 武居弘1 山本貫一郎1 唐住輝1
所属機関: 1関東逓信病院精神神経科
ページ範囲:P.69 - P.75
文献購入ページに移動一過性脳虚血発作(transient cerebral ischemicattacks)は,Marshall11)(1972)によれば,退行期の脳血管障害を伴う患者に,脳虚血の結果,一過性かつ局所性の脳機能障害を来たすが,完全に回復する疾患であるという。この疾患の重要性としてつぎの2点が挙げられている。まず,より重篤な脳血管障害がやがて来る予告であること,経過が一過性であるところから,血動態因子が働いていると考えられ,この因子の修正により脳卒中を予防しうる可能性があることの2点である。このように,脳血管障害の予防の観点からは,きわめて重要な疾患ではあるが,この疾患の病因論は一様でなく,したがって,その定義や範囲も人により多少異なっている。
「脳血管障害の分類と概要」に関する米諮問会の報告4)(1958)によれば,本疾患はさらに3項目に細分されている。
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