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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻1号

1974年01月発行

文献概要

研究と報告

Medazepam(S-804)の終夜睡眠脳波に及ぼす影響

著者: 稲永和豊1 磯崎宏2

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室 2久留米大学医学部中央臨床検査部

ページ範囲:P.89 - P.94

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I.はじめに
 Benzodiazepine系誘導体の1つであるmedazepamは,Sternbachら13)により合成されRandallら11) Rocheのグループによって開発されたもので7-chloro-2,3-dihydro-1-methyl-5-phenyl-1H-1,4-benzodiazepineなる化学式を持っている。本剤は他のbenzodiazepine系誘導体と同じく,主として中枢神経に作用するが,なかんずく興奮あるいは一般的な情動反応を主に司っている大脳辺縁系に影響を及ぼすといわれている6)。また動物実験においては末梢自律神経系に対して交感神経系には影響なく,副交感神経系の弱い遮断作用を有することが確かめられている8,11)。臨床的には不安緊張除去,静穏に対してとりわけすぐれた特性を有し,その他感情調整,自律神経安定化作用も有していることが認められている。
 しかし,われわれが前回行ったmedazepamの光眼輪筋反射に及ぼす影響を検討した結果では,medazepamは従来のbenzodiazepine系の薬物とは催眠作用があまりない点で差異があるように思われる3)。今回われわれは,このようなmedazepamの特性をさらに詳しく調べるために,medazepamを正常者に投与して,終夜睡眠脳波を検討したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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