海外文献
Antiparkinsonian Agents and Depot Phenothiazine/Concerning the Measurement of Vigilance Levels
著者:
片山義郎1
鹿島晴雄
所属機関:
1慶大精神神経医学
ページ範囲:P.869 - P.869
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錐体外路症状(EPS)出現予防のため,Depot phenothiazine(fluphenazine enanthate:F. E.)治療患者にも抗パ剤(AP)が常時併用されることが一般的であるが,その常時併用の意義に関する評価は十分には行われていない。たとえば,向精神薬の経口投与の場合には3ヵ月以上APを併用したさいには,その後APを中止してもEPSの出現することはほとんどなく長期AP併用の意義がないことがわかり(Dimascio,1971),MassachusetsではAP使用量が350万錠(1969年)から150万錠(1972年)へと激減しているという事実が報告されている(Dimascio,1973)。以上のようなことから,本論文の主題はDepot(注射)使用のさいのAP使用とEPS出現との関係におかれている。すでにAPを常時併用しF. E.(1回量1.5ml,平均13.2日間隔で注射投与)による治療が5〜39ヵ月間行われている患者41名を対象に,無作為につぎの3群に分類して,AP使用方法とEPS出現との関係を検討している。Ⅰ群(13名):EPS出現時にのみAP投与,Ⅱ群(13名):注射後5日間のみAP投与,Ⅲ群(15名):従来どおり毎日AP投与(なお,APとしてはbenztropine mesylateを用い2mg 1日2回の投与法に統一し,それでもEPSが出現した場合には1mgを筋注する)。またEPSとしてはfacial expression,tremor,akinesia,rigidity of arms,akathisia,dystoniaの6症状を指標におのおののseverity(intensity)を0〜3の4段階に分け評価検討の対象とした。毎週チェックし評価尺度でscoreを出した結果,12週間の経過からはEPSの出現頻度に関し(total scoreからは)3群間に有意差はなく,intensity‘3’(重篤なEPS)に関してのみ,Ⅱ,Ⅲ群よりもⅠ群に多く有意差が認められたとのことである。したがって,AP併用は重篤なEPS出現の予防にはなり得るであろうと結論している。