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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻10号

1974年10月発行

文献概要

研究と報告

炭酸リチウムの抗うつ作用とLithium血清濃度

著者: 渡辺昌祐12 鍋山敏朗1 忠田正樹1 中島洋子1 帆秋孝幸3 中屋耿爾1 藤田浩文1 久郷敏明1 岡本繁1 石野博志1 橋本迪子1 杉山信作1 平田邦樹1 大月三郎1 小川暢也4 中野重行5

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2現川崎医科大学精神神経医学教室 3帆秋病院 4九州大学薬学部薬品作用学教室 5岡山大学医学部脳代謝研究施設

ページ範囲:P.887 - P.892

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I.序
 われわれは,炭酸リチウムの抗うつ作用を昭和42年以来exploratory studyで検討し,中等症ないし軽症のうつ病治療に有効であるとの印象を持ったので17),引き続いて多施設参加のもとに,各種うつ状態の患者を対象として二重盲検比較試験による群間比較を行い,炭酸リチウムの抗うつ作用とimipramineのそれを比較した。炭酸リチウム150mg:imipramine 25mgの対等薬量で5週間にわたって比較すると,まったく同等の抗うつ作用を認めた。すなわち3週間後には約62%,5週間後には約80%の改善率を示した。炭酸リチウムの抗うつ作用は,うつ病のいかなる臨床的,遺伝生物学的な視点からみても,特異なlithium responder群はみられなかった。
 Lithium治療にさいしては,1〜3週間で84%になんらかの随伴症状ないし副作用を認めた。そのうち口渇,振せん,多尿・頻尿,頭重・頭痛が多かったが,3週を越えると随伴症状ないし副作用が減少した。食欲不振,悪心などは約30%に認め1〜5週にわたって持続した18)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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