icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻11号

1974年11月発行

シンポジウム 現代における精神医学研究の課題—東京都精神医学総合研究所開設記念シンポジウムから

臨床心理学の立場から

著者: 河合隼雄1

所属機関: 1京都大学教育学部臨床心理学

ページ範囲:P.943 - P.947

文献概要

I.はじめに
 精神医学の領域は非常に多方面からの研究を必要とするものである。
 古くからもある,精神と物質という二元的対立の問題も,この領域における研究を通じて,その秘密を露呈してくるのではないかとさえ考えられる。いろいろな精神障害の現象を研究することによって,ある人は人間の精神現象の物質的基礎を明らかにしたと思うかもしれず,また逆にある人は,人間の身体的な現象を心理的な基礎から説明し得ることを明らかにしたと思うかもしれない。おそらく,物質と精神の問題はこのような単純な因果連関を超えたものとして把握されることになろうと筆者は考えているが,ともかく,精神と身体の問題を共にはらむ領域として,始めに述べたごとく多面的な接近を必要とすることは事実である。物理学,化学,生物学,心理学,人類学などの研究結果が,思いがけない関連を見出す領域として,われわれは今後ますますinterdisciplinaryな研究を続けていく必要があろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら