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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻11号

1974年11月発行

研究と報告

強迫神経症についての一考察—「自己完結型」と「巻き込み型」について

著者: 成田善弘1 中村勇二郎2 水野信義3 石川昭雄3 河田晃3 河田美智子3

所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室 2愛知県立城山病院 3静岡県立病院養心荘

ページ範囲:P.957 - P.964

文献概要

I.はじめに
 強迫体験は精神病理学的にきわめて興味ある病態の1つであり,研究の歴史も古い。その概念規定も研究者により繰り返し試みられ,またその理解も,Janet的立場13),精神分折的立場6,7),森田学派11),現象学的人間学の立場8,16),など,さまざまな方向から行われている。また近年obsessive personality15)が注目されつつある。ただ,われわれの見るかぎり対人関係理論からの論述20)は比較的少ないように思われるので,この立場から若干の考察を試みたいと思う。強迫体験の定義は諸家により多少の違いがあるが,ここではすでに早く記述的現象学の立場にたって行われた富岡17)の定義に従うことにする。彼によれば,「強迫現象とは自我によって遂行せらるるものと承認せらるるが,しかも自我の現下の傾向に一致せず,従って自我は抗争的拒否的態度をもってこれを抑制せんと努むるが,尚抑制し得ざる作用Akt」であり,「情緒的体験に関するものであろうと,思考表象作用に関するものであろうと,作用の性質により区別する必要はなく」すべて強迫現象と呼ぶ。われわれは一応この見解に基づき,このような強迫現象を持った神経症者に対して,彼らの具体的対人関係にとくに注目しつつ考察を試みた。そしてこの観点から見るとき,大きく分けて2つの類型をたてることが可能なのではないかと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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