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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻12号

1974年12月発行

文献概要

展望

感情障害とリチウムイオン

著者: 渡辺昌祐1 石野博志2

所属機関: 1川崎医科大学精神神経医学教室 2岡山大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1028 - P.1052

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Ⅰ.リチウムの歴史
 リチウムはギリシャ語でstoneを意味し,1817年スウェーデンの化学者Arfwedsonにより発見された。自然界では塩として,鉱物中ことにsilicalateや,海水,温泉の硬水に存在し,海産物,植物,動物,人間の体内にも微量ではあるが存在することが証明されているが,その生理的役割は不明である。
 リチウムがはじめて医薬として試用されたのは1859年で,Garroldが,尿酸の結晶がリチウム溶液に溶解されやすい性質に注目して,痛風患者の尿酸の蓄積を排泄するために用いたがその治療効果はほとんど認められなかった。臭化リチウムがブロームの化合物の一つとして,抗けいれん剤,鎮静剤として使用されたころもあるが,臭化リチウムが他のブローム化合物に比較してまさるとの所見は得られず放置された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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