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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻12号

1974年12月発行

文献概要

研究と報告

脳炎・髄膜炎後のてんかんの臨床経過と脳波所見の推移

著者: 高橋三郎1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1053 - P.1060

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I.はじめに
 てんかんは古くヒポクラテスの時代から神聖病として,また近年は内因性精神病の1つとして,多方面からその病因や各種の発作症状,精神症状などが検討されている。一方いろいろの動物に人工的に痙攣などを誘発させる実験てんかんも,電気生理学的,生化学的および病理組織学的立場からそれぞれ研究され,ヒトにみられるてんかんの本態解明のうえで多くの有益な示唆を提供している。
 長年われわれの教室ではてんかんについて,その臨床面とともに実験的立場からも各種の研究を続け,臨床面については教室開設以来のてんかん患者についていくつかの報告をしてきた。数年前に教室の西堀らは昭和16年から35年までに初診したてんかん患者の予後調査を行い,その結果をすでに発表しているので,今回は昭和36年以後初診のてんかん患者についての調査を開始した。そのなかでも,大学病院という特殊事情にもより,臨床の実際場面でしばしば発作症状のコントロールに困難を感じたり,あるいはその特有の精神症状や性格の問題などで,治療上多くの困難を経験するいわゆる難治性てんかん例を観察する機会が多いため,今回はその原因の1つとしての脳炎・髄膜炎後にみられるてんかんに焦点をしぼった。この点に注目した今1つの理由は,従来から明らかな外因を有する症状てんかんの治療成績が真性てんかんに比し不良といわれ,この症状てんかんの1原因として脳炎・髄膜炎を挙げている報告が多いにもかかわらず,この問題に的をしぼった研究が非常に少ないためでもあったからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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