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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻2号

1974年02月発行

研究と報告

橋本病における精神分裂病様症状

著者: 高橋三郎1 宮本宣博1 吉村学2

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室 2京都府立医科大学第2内科教室

ページ範囲:P.177 - P.186

文献概要

 代表的な自己免疫疾患の1つである橋本病に併発した精神分裂病様精神症状を呈した1例について報告した。その精神症状の特質および経過を検討して,幻視,幻聴,血統妄想,情動障害など精神分裂病様特徴のほかに,脳器質性精神症状,症状精神病としての特徴を見出し,これが橋本病に由来する粘液水腫の結果起こったものと考えた。
 内科外来患者中,甲状腺腫,放射性ヨードによる甲状腺機能検査所見および自己免疫抗体価の測定により橋本病と診断された23症例の精神症状を検討した結果,本格的な精神分裂病様症状を呈したものはない。9例になんらかの精神症状を認めたが,これは自己免疫過程よりも甲状腺機能により起こっているものと考えた。
 最近発展してきた精神分裂病の自己免疫疾患説について若干の考察を試み,橋本病に関してはいまだになんら精神分裂病との直接的関連は見出されていないことを確認した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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