文献詳細
古典紹介
Wilhelm Griesinger:Über psychische Reflexactionen:Mit einem Blick auf das Wesen der psychischen Krankheiten〔Archiv fur physiologische Heilkunde, Bd. II;76, 1843〕(その1)
著者: 柴田収一1
所属機関: 1東京女子医科大学神経精神科教室
ページ範囲:P.203 - P.212
文献概要
神経系における反射作用の概念は,上述の生理学的概念に属する。これはすでに遡ってWhyttおよびHallerの見解中にある概念で,J. W. Arnoldの指摘するとおりすでにUnzerが明確に,さらにわれわれのみるところではReil注)がもっと明確に知っていたとはいえ,これを経験的に根拠づけ,この概念の持つ重要性を余すところなく証明した功績は,M. HallおよびJ. Müllerのものである。反射概念は,熱意をもって仕上げられた神経生理学から,異常に速やかに,医師たちの科学用語ないしは術語として採用されるに至り,そして概念が深められたばかりか広く拡大もされたために,すでに一種の日常語となってしまった。といってもそれは,本来日常茶飯の陳腐なものという意味ではなく,時代に適した必要な思想が普遍的市民権を獲得して学問上の共通財産となった時に,真価を発揮して勝利を誇ることになるような日常性なのである。
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