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研究と報告
大学病院精神神経科通院患者に対する疫学的試み(その1)—外来統計を中心として
著者: 山田幸彦1 中村信1 富田邦義1 佐藤泰三1 井上令一1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.279 - P.288
文献購入ページに移動疾病の重い桎桔に喘ぎつつ,日々,クリニックを訪れる人々は多い。
これらの多くの人々は,たとえば精神分裂病,躁うつ病などと診断され,分類されるが,疾病と密接に関係した素因,性格,家族的—社会的背景,また,症状,経過などその内包する事情は各人各様である。このような個別的内実について医師は,医者—患者関係を基盤とする精神科医療を通じて深く関与し,治療に役立てることができる。しかし,ひるがえって,これらを全体として把握しようとする時,その対象の多さ,取り上げるべき要素,それらの相互関連の多様さなどのため,漠然とその傾向性を感じとるにすぎないのが一般の実情である。いうまでもなく受診者層は,社会的,経済的,地理的など多元的要素に左右されるところが大きく,同時に流動的であり,またこれらを対象とする調査そのものも多大の労力と時間を要するなど困難は多い。しかし,われわれの診療が,こうした多元的要素を前提とした患者群に対し行われるものであれば,この視点から,その実態を把握していることは診療の実際において重要な意義を持っている。
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