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研究と報告
アルコール幻覚症者の体験と行動—救助を求める行動としての放火
著者: 福島章1
所属機関: 1東京医科歯科大学犯罪精神医学教室
ページ範囲:P.349 - P.358
文献購入ページに移動(2)包囲攻撃状況,被害妄想など,従来アルコール幻覚症に特徴的とされていた症状が,他の薬物乱用によっても認められること,これらの妄想内容と患者の置かれている「たよりない状況」との間には心理的了解関連を認め得ることを論じた。
(3)従来の文献によれば,アルコール幻覚症者の問題行動として逃走,自殺,まれに殺人が報告されているが,本論文の症例がすべて放火であったことの理由を考察した。彼らは「たよりない状況」において,当然援助を求める欲求を抱くであろうが,それが放火などの行動として遂行される背景には,依存欲求の抑圧をかならずしも強制しない日本的心性などの関与が推測される。
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