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研究と報告
急性Diphenylhydantoin中毒の臨床的脳波的研究
著者: 新里邦夫1 八木和一1 鶴紀子1 滝川守国1 西田保馬1 国吉昌長1
所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.548 - P.556
文献購入ページに移動Diphenylhydantoin(以下DPH)は優れた抗けいれん作用を示しながら,重篤な副作用が少なく長期連用に耐え得ることなどのため,phenobarbital(以下PHB)とともに,臨床的にも実験的にも,抗てんかん薬の主剤として頻用されている。DPHの副作用は出現頻度が低いとはいえ,その種類が多岐にわたることも,広く知られている。その副作用を一括すると,特異体質を基盤にした過敏反応と過剰投与や分解能力の障害などから発現する中毒症状に二大別される。前者に属するものは皮膚症状,血液の変化,消化器症状などであり,後者に属するものは小脳症状を中心とする神経精神症状である。
われわれは最近抗てんかん剤服用中,眼振,めまい,複視,運動失調,構語障害などの小脳症状を呈し,急性DPH中毒と診断した5症例の脳波に,全汎性高電位不規則徐波の連続を認め,この脳波の変化が,臨床症状の改善につれて消失することを認めた。さらに,実験的にも大量のDPHを静注した家兎の皮質脳波で同様の変化を観察した。
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