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短報
投与量からみたTrifluperidolの精神分裂病に対する治療効果について
著者: 岸本朗1 稲垣卓1 本池光雄1 宮本慶一1 小椋力1 織田尚生1
所属機関: 1島根県立湖陵病院
ページ範囲:P.586 - P.587
文献購入ページに移動Trifluperidol(以下TFPと略記)は強力な神経遮断作用を持ちながら,Divryら1)によって提唱されたneurodysleptic effectsといわれる亜急性の興奮作用を有している。このneurodysleptic effectsのなかのakathisia,tasikinesia,paresthesiaなどは焦躁感を伴っており,焦躁症状群とも呼ばれるが,これが精神分裂病の無為・自閉に対して有効に作用するといわれている。従来の報告ではTFPの使用量は1日量1〜5mgがほとんどであるが,その後Finkら2)はTFPの大量投与時(1日量30mgまで)にかえって焦躁症状群,パーキンソン症状群の出現が少なく,むしろ投与量を減ずるにつれてそれらが出現してくることを報告し,本邦でもTFPの大量投与時に著明な鎮静効果および抗幻覚・妄想作用がみられるとの報告3,9)がなされ,TFPの投与量と治療効果の関係をあらためて検討しようとする動きがみられている。このようにふつうの投与量では十分効果の得られない患者に対して,比較的大量の薬物を用いて治療を行う,いわゆる大量療法の試みがphenothiazine系薬物4〜7),butyrophenone系薬物8)についていくつか行われている。今回著者らはTFPとその効果の関係,および副作用について再検討を試みたのでその概略を報告する。
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