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シンポジウム 向精神薬療法の現状と問題点—Dr. Frank J. Ayd, Jr. を迎えて
精神科薬物療法についての調査—横浜市医療扶助患者の場合
著者: 酒井正雄1 森口祥子1 斎藤惇1
所属機関: 1横浜市立大学医学部神経科学教室
ページ範囲:P.651 - P.659
文献購入ページに移動精神科領域にはじめてchlorpromazineが導入されてから20年になる。この20年の間に実に多種類の向精神薬が現れ,個々の薬物についても,また薬物療法そのものについても数多くの研究がなされてきた。しかし,毎日の診療の中で断片的に見聞する限りにおいては,この20年間の先人たちの研究の成果が現在の精神科医療の面でどれだけ生かされているのか,首をかしげざるを得ないことにしばしば遭遇する。たしかに,わが国でも個個の向精神薬そのものについての研究や,臨床治験についての報告は数多いが,薬物療法そのものについての研究はほとんど見当らないし,薬物療法の現状についての調査は皆無に等しい。
横浜市民生局厚生部保護課は昭和46~47年度にわたり,生活保護法に基づいて横浜市から医療扶助を受けている患者についての調査を行った。われわれはその調査の一部に参加したのであるが,この調査のうち,精神病院入院患者の受けている薬物療法の内容は,上に述べたわれわれの疑問への解答の手がかりともなるし,薬物療法の現状を考えるうえに一つの資料ともなるのでここに発表するしだいである。
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