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巻頭言
本格的精神医学的研究とは
著者: 荻野恒一1
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所
ページ範囲:P.734 - P.735
文献購入ページに移動 東京都精神医学総合研究所と称するところに赴任してから1年あまり経つが,「精神医学研究とは?」とりわけ「総合研究とは?」という問いが,わたしの脳裏にいつもある。これは,わたしだけのことではない。たとえば年1回の当研究所の公開シンポジウムを開くにあたって,テーマを研究員たちが決めようとすると,きまって「精神医学研究所にふさわしいテーマはなにか」とか,「とりわけ総合の名にふさわしい研究はなにか」という議論がまず起こり,そのうちに「こういう問いを繰り返さざるを得ない悩みを踏まえないテーマでは駄目だ」という至極もっともなことが確認され,「このこと自体を論じることこそ,最も大切なことではないか」という話になって,「それでは昨年と同じテーマになる」という結論に至り,ここから議論は振り出しに戻る,というしだいである。
このような事情は,少なくともここ4,5年来は,学会でシンポジウムや特別講演のテーマを決めようとする場合にも,窺えるのではないかと思う。またここ1,2年来の本誌の巻頭言をひもといてみても,一貫して以上のような問い方や,こうした問いへのなんらかの答が書かれていることに気づく。
このような事情は,少なくともここ4,5年来は,学会でシンポジウムや特別講演のテーマを決めようとする場合にも,窺えるのではないかと思う。またここ1,2年来の本誌の巻頭言をひもといてみても,一貫して以上のような問い方や,こうした問いへのなんらかの答が書かれていることに気づく。
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