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文献詳細

雑誌文献

精神医学16巻9号

1974年09月発行

文献概要

研究と報告

二重盲検法による炭酸リチウムとImipramineの抗うつ作用の比較

著者: 渡辺昌祐12 土井享1 玉置幸弘1 庄盛敦子3 花岡正憲1 和気章1 青山和夫1 藤原二郎1 中島良彦1 佐野晋1 岩井濶之1 大月三郎1 小川暢也4 中野重行5

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2現川崎医科大学精神神経医学教室 3県立岡山病院 4九州大学薬学部薬品作用学教室 5岡山大学医学部脳代謝研究施設

ページ範囲:P.785 - P.794

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I.はじめに
 情動障害に対する炭酸リチウムの治療は,ここ10年間の精神病治療学における最も大きな関心事である。躁病に対するlithiumの治療効果は,二重盲検比較試験においてもすでに確認されているが4,9,11,15,16,20,29,30,32,34),うつ状態に対する効果は,うつ病予防効果が認められながら2,5,13,22),なお十分容認されていない現状である。しかし炭酸リチウムの抗うつ効果を認めたいくつかの報告1,7)がみられ,またわれわれのexploratory studyでの結果41)では,55例のうつ状態患者のうち30例,約55%にlithium治療に反応するうつ病者が存在する成績が得られたので,これを客観的に確認するために二重盲検比較試験による検討を行った。
 炭酸リチウムの抗うつ効果を二重盲検法によって検討した成績としては,Fieve8),Goodwin9,10),Greenspan11),Mendels23)らの報告がある。Fieve8)はimipramineとの薬効比較を行い,imipramineよりやや弱い抗うつ効果を認めている。またMendels23)は対照としてdesipramineを用い,lithiumがそれと同等の抗うつ効果を示したこと,有効率ではlithiumのほうが高い値を与えたことを報告している。Goodwin9)とGreenspan11)はplaceboとの比較で炭酸リチウムの抗うつ効果を認めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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