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研究と報告
Floropipamide(Propitan)により心臓障害を呈した3例
著者: 玉沢昭1 一ノ渡尚道2 中島節夫2 相田信男2 狩野力八郎2
所属機関: 1桜ケ丘保養院内科 2桜ケ丘保養院精神神経科
ページ範囲:P.51 - P.57
文献購入ページに移動1952年phenothiazine系薬物が精神科の治療に登場して以来,薬物療法が精神科治療の主流となり,種々の向精神薬が開発された。
しかし精神病の特性上,その使用が大量かつ長期に亘るための種々の副作用が出現し,その対策が講じられてきた。1963年Kellyら1)がthioridazine使用中の患者の突然死を報告して以来,phenothiazine系薬物の心臓血管系に及ぼす影響について多くの研究が報告された2〜4)。また,最近三環系抗うつ剤による突然死がMoirらによって報告されている5,6)。しかし,butyrophenone系薬物の心臓障害については報告が少なく,わずかにMeallieら8)および栗岡ら9)による心電図上のT波の変化についての報告がみられる程度である。
筆者らは1969年以来,向精神薬服用者の心電図についてT波の変化とともにQT時間の延長の推移を検索してきたが,とくにfloropipamide(Propitan)投与と密接な関連のある心電図変化を示した3例を経験し,そのうち1例にはAdams-Stokes症候群と思われる症状が認められたので報告する。
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