文献詳細
研究と報告
文献概要
I.はじめに
発作性に傾眠状態を繰り返す疾患には,ナルコレプシー,周期性傾眠症などが知られているが,そのうち周期性傾眠症は,ナルコレプシーに比べ傾眠期の持続時間が長く,状態像についてもナルコレプシーでは正常に近い入眠期あるいはREM睡眠が出現する(神保ら8),1964;菱川ら5),1962;高橋14),1965)のに対し,周期性傾眠症では傾眠ないし軽度の意識障害が存在すると思われるなどの特徴を有している。周期性傾眠症の病態生理についてはほとんど不明に近く,治療についても,主としてmethylphenidate(以下MFDと略す)などの中枢刺激薬が使用されているが,傾眠に対する治療効果は十分とはいえず,また,病期出現に対する予防効果も認められていない。
最近筆者らは,MFDの与薬で症状が消失せず,近年躁うつ病の治療に用いられている炭酸リチウムが奏効した周期性傾眠症の1例を経験したので,その概略を報告するとともに,傾眠期と間歇期に測定した血中,尿中の生体アミンの動態や,躁うつ病と周期性傾眠症の病態生理の連関などについて考察を行うことにする。
発作性に傾眠状態を繰り返す疾患には,ナルコレプシー,周期性傾眠症などが知られているが,そのうち周期性傾眠症は,ナルコレプシーに比べ傾眠期の持続時間が長く,状態像についてもナルコレプシーでは正常に近い入眠期あるいはREM睡眠が出現する(神保ら8),1964;菱川ら5),1962;高橋14),1965)のに対し,周期性傾眠症では傾眠ないし軽度の意識障害が存在すると思われるなどの特徴を有している。周期性傾眠症の病態生理についてはほとんど不明に近く,治療についても,主としてmethylphenidate(以下MFDと略す)などの中枢刺激薬が使用されているが,傾眠に対する治療効果は十分とはいえず,また,病期出現に対する予防効果も認められていない。
最近筆者らは,MFDの与薬で症状が消失せず,近年躁うつ病の治療に用いられている炭酸リチウムが奏効した周期性傾眠症の1例を経験したので,その概略を報告するとともに,傾眠期と間歇期に測定した血中,尿中の生体アミンの動態や,躁うつ病と周期性傾眠症の病態生理の連関などについて考察を行うことにする。
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