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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻10号

1975年10月発行

文献概要

研究と報告

アルコール中毒者の予後と家族との関係—とくに配偶者との関係について

著者: 小杉好弘1 田中美苑2

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神科 2浜寺病院,臨床心理

ページ範囲:P.1047 - P.1053

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I.はじめに
 アルコール中毒は心身の障害のみならず,社会生活の障害をもたらす行動異常とされている。こういった行動障害のうち,家庭生活における適応異常はこの疾病の重要な一側面であり,これはむしろ職業生活の障害とならぶこの疾病の中核をなすものである。
 アルコール中毒者の家庭生活は,アルコール依存の進行とともに,患者とそれをとりまく家族に大きな心理的影響をおよぼし,家庭内緊張が高まってゆく。それにつれ,家族の患者にたいする態度が漸次変化し,家族員相互の役割や地位が変わるものである。このような家族内力動の変化が,患者を心理的に圧迫し,それが飲酒にたいする合理化の材料になるなど,二次的な状況の悪化をもたらし中毒を促進するという悪循環をきたすことになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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