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研究と報告
慶応病院精神神経科外来児童の実態およびその追跡調査—初診後10年以上を経過した児童を中心に
著者: 林雅次1 平野正治2 作田勉2 鈴木洋一2 久場川哲二2
所属機関: 1東海大学医学部精神神経学教室 2慶応義塾大学医学部精神神経学教室
ページ範囲:P.1159 - P.1169
文献購入ページに移動近年小児医学の細分化と社会的要請にともない,小児神経学と小児精神医学は,それぞれ固有の分野を切り開きつつある。従来の精神医学にあっても児童期,思春期,あるいは老年期といった縦軸の各期における特殊性に対応した医療の必要が説かれ,分化していく傾向にある。こうした情勢の中で,児童の問題行動をはじめ種々な精神医学的相談が,児産相談所,小児科,あるいは精神科の窓口に増えているのは事実である。たとえば育児相談や3歳児検診における母親の相談事項をみても,子供の情緒面の心配が,かなりの比率を占め1),また学校保健においても,長欠児童のうち学校ぎらいの占める比率が,この数年,とくに増大している2)われわれはこのような現状を考えるにあたり,大学病院精神科という窓口を訪ねた児童の実態を把握するため,今回初診後10年以上を経過している外来児童の臨床統計的調査を行い,併せて概略ではあるが,病状経過を中心とした追跡調査を行ったので,その結果を報告したい(なお先に当教室の中村ら3)より,外来児童の統計的研究が報告されており,本調査と年次的に重複した部分があることを付言しておく)。
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